10日目

一晩酒を抜いたせいか(久しぶりだ)、快調な目覚め。
朝食を摂り、さあ出掛けるか、と思ったら外は強い雨。
空を見ると、確かに雲に覆われた部分は多いが、雲の切れ間からはぎらっと太陽が覗いたりもしている。
少し待てば上がるかもしれないな、と判断して9:00まで待機、雨が上がった隙に出発。

串木野で薩摩揚げ(地元では付け揚げと呼ぶらしい)を買い、親類知人に発送。
さらに、母親からかつお加工品をリクエストされていたので、それを買うために枕崎へ。
厚い雲の下、枕崎に着くと、時折雨がサーッと降ってきたりしている。
とっとと大きな土産物センターでご注文の品を買い、発送。
さてお昼か、何喰おうかなぁ、と市街方面へ行ってみると、「かつおラーメン」という看板を出した「愛助堂」というラーメン屋があったので、そこへ入ってみた。
この店の普通のラーメンは豚骨ベースの白濁スープなのだが、かつおラーメンはかつおダシがベースの透明なあっさり味。
麺は鹿児島らしく太め&柔らかめ、いや、喰べてみると悪くない。
こういうラーメンももちろんアリだと思う。
具に乗っているのも、豚肉のチャーシューでは無くてかつおを付け焼きにしたもの。
普通のラーメンも喰べてみたかったけど、かつおラーメンだけでお腹一杯に。

鹿児島まで戻って、鴨池港から大隅交通ネットワークのフェリーで大隅半島の垂水へ渡ることにする。
初めて見る桜島は、雲が掛かっていてその全貌を見せてはくれなかった。
今日は鹿児島の空は、ご機嫌斜めだぜ。
さてフェリーは垂水に到着、ここから南下して、本土最南端である佐多岬へ行こうと思っていたのだが、朝の川内と同じように、太陽が顔を出したと思えばまた土砂降り、という不安定な天気。
うーん、枕崎もだけど、今日は鹿児島南部はこんな天気なのかも知れないな。
最南端は興味あるけど、何も雨降ってる時に行くこともあるまい。
そう考えて佐多岬はパス、このまま宿泊地の宮崎を目指すことにする。
R220 を北へ向かって国分ICから東九州自動車道に入り、加治木JCTから九州自動車道、えびのJCTで宮崎自動車道と乗り継いで宮崎へ。
18:30だというのに、まだまだ太陽は高い位置から街をがっと照らす。
ツーリングをしていて、ああ、西に来たな、と感じる瞬間はこの、夕方に空を見上げ、太陽の高さに驚く時だ。

ホテルは駅前の商店街にあった。
19:00にチェックイン。

日曜日ということもあるのか、商店街を少々ほっつき歩いてみたものの、アンテナにピンと来る店がない。
仕方なく、大きな居酒屋へ入ってみると、カウンターの無い店で、こちら一人だというのに、立派な個室に案内してくれた。気が引けるっつーの。

まず生ビールとフライドポテト、そして何か宮崎っぽい物はないかなー、おお、冷や汁があるじゃないか。
冷や汁というのは、素焼きした魚の身をほぐしてすり鉢で擂り、それを出汁で伸ばしてキュウリのスライスや青じその千切り、すりゴマなどを薬味にして冷たい味噌汁にするもので、現地ではこれを熱いご飯にぶっかけて啜り込むのだそうだ。
うちの母親は九州とは何の縁もない群馬生まれだが、この冷や汁を魚こそ入れないが、殆ど同じ作り方で拵える。
魚が入っていないのでさっぱりした味で、うちではこれを飯では無く、そうめんのつゆにして子供の頃から良く喰べされられたものだ。
その後、本場では魚を入れる、というのを知り、うちもアジでも焼いて試してみようと勧めるのだが、本人は「そんなのきっと生臭いに決まってる」と決めつけて試しもしない。
そんな訳で、本場の魚の身入りの冷や汁に憧れすら感じていたところに、メニューを見ればこの冷や汁のお椀の写真が、あさりの味噌汁とか豆腐の味噌汁とかの横に、並べて載せられているではないか。
じゃあビールとポテトをやっつけたら、これを啜りながら焼酎をやるとするか、うん、そしてその後、他の店で宮崎ラーメンだな、完璧だ!

と思ってたら、冷や汁はきっちりと現地の流儀の通り、ご飯と漬け物と一緒に出てきた。
あれ? メニューの写真って汁椀だけだったけど、これセットになってるの? と訊いたら、ええ、冷や汁は飯と一緒に喰べる物です、と来た、いや、参りました。
ラーメンどころでは無くなってしまった。
本場の冷や汁は魚が入る分生臭いといえばいえるが、そこがまた美味い。
一緒に呑んだ焼酎、「東国原」も太くすっきりとした風味で、美味かった。

もう一軒、若いご主人がやっている「鉄人」という居酒屋へ。
店内にはアントニオ猪木からチェ・ゲバラまで様々な写真が飾られ、BGMはボブ・マーリー。
いかにも現代の若者の、それでいて志は高そうな店である。

あらまし満腹なのだが、宮崎の鶏を喰べていないことを思い出してこの店に入ったのだった。
なので、もも焼きを注文。
炭火でじっくりと焼き上げられた、一口大の鶏もも肉は、所々に噛み応えのある部分が残されていて、それがまたこりこりとして焼酎に合う。
他の客の土産物である、豆腐ようを一切れご馳走になったが、これも美味い。
豆腐を紅麹と泡盛に漬ける、という突飛もない製法を、一体全体誰が考えついたのだろう。
これを沖縄の空気の中、泡盛でやったらそりゃうめえだろうなぁ。

満足して帰る。
by hybrid-jp | 2010-08-15 09:00 | ホーボー | Comments(0)

いつかどこかで考えたこと。


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